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おから

豆腐屋さんと知り合いになりたい、と思って
いきつけの魚屋の並びにある、地味な個人経営の豆腐屋の、
すりガラスの引き戸を
思いきって開けてみた。
「こんにちは」

第一印象は大事だ。
ここで「いらっしゃい!」と歓迎ムードで出迎えてくれれば
あたしはきっと今後豆腐関係のものはここで買うことを決めたろう。
だが、戸が開いたことにも気づかず
こっちは何度も「こんにちは~...」と叫んだ。
だまってこっちに来たおやじさんに
しょうがないから「木綿豆腐2つと...あ、このおからください」と言ったら
だまって豆腐を2つ手ですくってパックにいれ、ビニールにいれ、それを手提げビニール袋にいれた。
おからは「そこ、入る?」
あたしの手提げを指差された。
あ、はい...。
おやじさんがあまりにも愛想がなく、なぜかこっちが気をつかって「豆乳は売ってるんですか?」などと
聞いてみる。
「ない」とひとこと。
そして
「330円」といわれて支払い「どーも」とあたしは言って店をでた。
どれがいくらか値段もでてなかったので
豆腐が1丁165円でおからがタダだったのか、
豆腐が150円でおからが30円だったのか
豆腐が140円でおからが50円だったのか
確認できないまま終わった。

まだほんのりあったかいおからで
ひさびさに卯の花を煮た。

あったにんじんとネギとハムをいれて
白だしを使って煮たらずいぶん上品な色になった。
おいしくできたから満足だけど
あの豆腐屋にはたぶんもう行かない。
いいお客さんを逃がしましたね...。

by yukari  at 12:31
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