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子育てで追い込まれる親心

年始に
角田光代さんのを

Dscf2672

そして今
小川糸さんのを。

田舎育ちにはまったく縁がなかった”小学校お受験”が
都会では実際のものとして今もおこなわれとる。
それが当然の環境で親も産まれ育っていればなんの疑問ももたずいられるだろうが
親がそんな経験なくたまたま引っ越してきた場所で我が子を育てるにあたって
そういう環境に身を置くことになると
とまどうばかり。
あたしが住んだ湘南は
とりあえず地域の小学校に子どもを入学させる家庭がまだ多かったからそれはよかったと思う。
だけど
どの家庭も受験があたりまえな地域やったら
それもその理由が我が子をより健全な学校で過ごさせてやりたいという理由やったとしたら
もしかしたら小学校受験に対して心ゆれたかもしれん。

低学年のときはよかった。
渡米後、息子が5年生になってから帰国して戻ったその我が家のエリアは
小学校受験は少なかったのに、中学校受験にむかう家庭がけっこうおった。
その理由が
”荒れてない中学に行かせたい”やった。
地元中学はドアがぼこぼこに蹴られ、トイレなんてドアないくらい校舎内もひどいゆう話を耳にした。
さすがに我が家はそうとうに心揺れ、
そして受験対策塾の説明会にも出向いた。
塾もはじめに試験を受け、あるていどの成績をあげた子じゃないと入学許可がおりない厳しさ。
塾費が高すぎたのと、毎晩夜用の弁当持参で、小学生なのに帰宅も夜10時頃になるとか、
みんな4年生くらいからもう通い始めて家族ばらばらの晩ご飯があたりまえゆう現実が
あたしにはどうしてもたえられそうになく
結局その塾には通わせなかったが
息子を1年後、どこに受験させたらいいかは、けっこう具体的に検討しはじめとった。

だけど
我が家は
そこで単純につらくなった。
決定的な理由は
ひと足先に帰国した知り合い家庭のお母さんが受験の悩みやストレスで体調くずしてなかなか治らないまま、
塾に通わせ家族ともども必死な1年を過ごしどうにか中学受験して受かって晴れて私立中学に通い始めた娘さんが
その中学でいじめにあってる、なんのためにそこ選んで受験させたかこれじゃわからない、という話を
されたから。
受験させれば絶対健全な環境に子どもを置けるというわけやないんや、高いお金払ってそれじゃあんまりやな...。
いっきに熱が冷め
「普通に地元中学に通って普通にのびのび学生生活送れるエリアなんか
日本のどっかにいっぱいあるはずや、そういう場所に引っ越せばいいことや、こんなとこにおったら
みんな精神的におかしくなるわ...」と環境から逃げ出す道を選んだ。
仕事も辞め
マイホームからも未練なく離れて。。。

都会の子育ては、父が遅くまで不在やから、母の孤独感や焦りがつのる。
あんなに人が多いのに
昔からの知り合いがいないから、母にとっての友人が誰もいない中でいつもさみしく
暮らしもてさぐり。
ちょっとでも知り合いができると嬉しくて
より深い友人になりたくて。
安心を求めてまわりからの話を鵜呑みにしたくなるし
子どものためなら多少無理してもそうすることがここで暮らす母親として当然と思うようになる。
その心境の変化は自分でも体験済みなだけに
実際に東京で起きた事件をもとに、周辺の母親にインタビューしながら出来上がったというこの角田さんの本は
興味があった。
あぁ、このエリアにおったとしたら、まったく人ごとじゃないよなぁと
つくづく感じる1冊やった。

そして今
外の平和な雪景色みながら
食堂かたつむりでほんわかさせてもろとる。

by yukari  at 10:44
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