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ほんとに苦しかったから今のあたしと夫

今年も年賀状を準備する季節になった。
北海道に来てからいきなり生活がキビシくなって、
どちらかというと世間体重視贅沢余裕費的な交際費を捻出できなくなってから、
年賀状に関して見方が変わった。
関わったみんなに送ってた以前のようにはいかなくなった。
本州の人に対しては、遠く離れても気にしてくれてるのがわかる人にしか送りたくなくなった。
経済的に苦しい状況になって初めて、
相手とのほんとの絆がわかったというか、単に表面的なつきあいだっただけというのを再認識してしまったというか。
それ以来、住所も把握できてる上にほんとに末永く関わっていきたい人にしか年賀状を送らなくなってしまった。

本州にいたときは、変に義理堅いニンゲンだったと思う。
年に一度も会えなくなっても、過去の関わりからきちんと年賀状を送ったりしてた。遠い親戚にもきっちり。
そんなもんだと思ってた。日頃会いもしないのに。
前年送ったから今年も送らないわけには...で生真面目に。

だけど、
年賀状を何百枚も用意できる人というのは結局、生活にほんとに困ってはいない人なんだとわかった。
生活そのものよりなにより世間体のほうに重きをおいてる人なんだと。
そしてまた、それに重きがおける恵まれた経済状態なんだと。


100枚で5000円。50枚で2500円。その数千円も捻出できなくなるほどの状況なんて、
当たり前のように何百枚も買って送ってる人には絶対わからないだろうと。
数千円の年会費すら払えなくなって、それまで唯一のプライドだった大学時代の合唱団の同窓会も脱退するしかなくなったほどの
困窮した状況になってしまうと、
町内から「募金300円お願いします」と自宅までたずねてこられて、ほんとその300円が惜しかった。
募金なのになんで300円なんて額まで決まってるの?気持ちの問題でしょう?と100円で済ませられやしないかと内心思ったりした。あたしの時給が650円なんだぞと。1時間めいっぱい働いて、もらえるのがたったの650円なんだぞと。
300円たらその半分だぞと。冗談じゃないと。
そんな石狩時代だったなぁ。

あれからだいぶ状況はましになったと思うけど、それでも買える枚数は多くない。
たとえあたしの時給が800円になったところでたいした足しにもなってない。
子どもの成長にともなって必要経費は増えるばかり。食べ盛りが2人いると米も月に20キロ消費。
今は親としてそちらを優先すべき時期だと思ってる。だから
言葉どおり『昨年は(精神的にも)大変お世話になりました』の人にしか年賀状は送りたくないと思ってる。
親戚だろうがなんだろうが、北海道に越して大変だったここ数年間を理解しようとしない人にはもう送らないと決めた。
なんてやつだと思われてもいい。
この際、うちらのことは忘れてくれ、と本州で表面的つきあいだった人たちの記憶からうちらがフェードアウトして消えていってくれることを願ってる。あたしだけかと思ってた。だけどこないだ夫もそう思ってるとわかった。
苦しい時代を支え合ってきた同士だから、心から実感してることなんだ...。

だって、北海道で関わってきた人たちに、
感謝しきれないほどお世話になってきた。野菜をおすそわけしてくれたりして苦しかった生活も気持ちも支えてもらった。
今もそう。
遠くの親戚より近くの他人、とはほんとよく言ったもんだわ。
北海道の自分たちを遠くから気にかけてくれてるのが今もわかる本州の身内や友人、そして北海道で今関わってる人たち。
今はそれが自分たちの交際範囲のすべて。
広くなくても、一生ずっと大事にしていきたいと思ってるすべて。


by yukari  at 12:54
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