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母親の企み

『なんでもいいからひとつ、得意なもん持たれ』

うちの母は昔からそうあたしに言ってた。
たまたまあたしは、すべてにおいて得意不得意がはっきりしてたから
当然、得意なものでその不得意をカバーしてこれまでやってきた。
得意なもんひとつあったことで、世の中どうにか渡ってこれたので
母のアドバイスはまぁ適確だったのかも。
そしてうちの母は実に素直で、あらっ?と拍子抜けするくらいあきらめもいい人なので
「お母さん、お菓子みたいに計って作るようなやつ、面倒やから、あんた、作られ。あんた上手やにか。』と必然的にあたしが作る方向にもっていき、
あたしの縫い目がたがたでヘタすぎる洋裁に関しては、
和裁洋裁得意の母が「...いいちゃ、やったげっちゃ」「得意不得意、あるからね」とほとんど引き受けてくれた。
親として「ニガテなものもちゃんと練習してやることがどーのこーの...」と子に説教するようなタイプじゃなかったのが幸いした。
たぶん説教したところで、あたしのひどい縫い目が改善される見込みもないと、即あきらめたんだろう。

そして今。

次男は将来音楽や歌、芸能活動でどうにかやっていきたいと夢見てて
高校生活もひとまず安定してきたことだし、夢があることはいいことだと
1年前の悪夢のような日々がはるか遠い昔のことのように思われるほど
親として今おだやかに見守ってはいるが
実際のところ、夢と生活、現実は別もの、それが芸能界ともなると未知数なので、
現実的にもうひとつの可能性もキープさせつつ、できればそっちに興味もでてきてくれやしないかと
初バイト先に『ここ、いいんじゃな〜い?』といくつか候補を並べたのはあたしだ。
高校生を受け入れてくれるバイト先には限りもあって、その中でも
『こことここと、このあたりなら初バイトとしては無理がないかもよ』とおすすめしたのは全部飲食店。
まかないが付いてるとか、交通費の心配がないとか、時間的に無理が無いとか、
ややこしすぎない仕事内容であることとか、
初めて仕事をするうえで、仕事ってなかなかやりがいあって楽しいな、と思える環境からスタートしないと、
働く事そのものがキライになるから、初バイトだけは安心できるとこでやらせたかった。
採用された店は初バイト先として理想的。よかったな〜。
今日で4日目。
真面目にちゃんとバイトに行ってる息子。いいぞ、いいぞ〜。
『得意なもん、ひとつ』『手に職』として
次男には”料理も手際よくできる男”としてぜひとも成長してもらいたい、とあいかわらず企み続ける母、あたしだ。
飲食業経験があれば、歌でぱっとしないビンボー期間もバイト先として本人自ら飲食店をすんなり選べるだろう。
飲食店でまかない付きのとこにめぐりあえれば食いっぱぐれずに済むし。そのまま店に就職ってな展開だってあるだろうし。
この時代、男は、趣味でも特技でもいい、”料理ができてなんぼ”だと思う。
作る手順、手際、タイミング、仕上げのセンス、あれこれ同時に考えながらの作業ができるようになっとくことは
いろんな場面で役にたつだろう。
この3年間であるていど、料理をまかせられるまでに息子を仕上げたら
母親として子育て完了、もうどこ行ってもどうにかして生きていけるやろ、と思えるだろな。
そしたら3年後、47歳で子育て卒業〜!!いやぁ〜、夢のようだな〜。


by yukari  at 18:29
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