ぶらっと小樽へ 1
久しぶりにバスに乗って小樽へ。
小樽駅前で下車して、ぶらぶら都通り商店街をふと見ると、えらい人だかりだった。
なになに?
通りの真ん中に、漬け物とか野菜を売りに来てる人が5カ所ほど点在してて
そこにおばちゃんたちが群がってるのだった。
どうやら土曜の朝にはここに出店が恒例で、たぶんそれを目当てに来てる人たちなんだろな、と勝手に想像しながら
しばらく歩くと、右手に黙々とぱんじゅうを焼くおじさんの姿。なんとなく気になって思いきってドアを開けてみた。
「何個から買えますか?」
『1個からいいよ。中で食べてって。』
ほんじゃあと、夫と1個ずつ焼きたてのぱんじゅうをじかに手につまませてもらって、そばの丸椅子に腰掛けて
食べてみた。びっくりするくらいおいしかった。職人気質のそのおじさんの語る、ぱんじゅうにかける熱い思いを聞きながら
はふはふ食べた。そうか、保存料無しのぱんじゅうはこんなにおいしかったのか。。。どこかで食べたぱんじゅうは人形焼きみたいで
いまいちな印象だったけど、ここのは良いっ!
そこから外に抜けてふら〜っと歩くと左手に『MOA美術館出品作品展』という立て看板が見える建物があった。
ここはなに?
小樽文学館、と。
手前のポスターに『常設 なう』って...。思わず中に入る。
中の壁がところどころはがれて、古い建物だ。
だけど、2階の文学館に入ってみると...おおっ、小樽に縁のある小林多喜二やいろんな文学家の人生がいっぱい展示されてて
思いがけず見応えのある空間になってた。恥ずかしながらあたしは伊藤整という人を知らなくて、
”チャタレイ夫人の恋人”という本の名前は聞いたことあるものの、それを訳したこの人が猥褻本にかかわった扱いになって
チャタレイ裁判とかいうものにまでかけられたなんてことは、今日、ここで初めて知ったのだった。
しかし、
昔の若者たちというのは、どうしてこんなに文字が大人っぽいんだろうなぁ。
直筆の原稿用紙がこういう風に残って展示されてるのを見ると、
もしあたしが書いた何かの紙が、自分が亡くなったあとに第三者に見られるようなことでもあれば、
ちょっと恥ずかしすぎるくらい字が汚い...見られて恥ずかしくない文字を書かねば...とすら思った。
文学館の中には古本コーナーとカフェスペースもあって、
古本の棚を見ると、おひとり5冊まで持ち帰り可、お代はお心差しでけっこうです、受付に置いてある入れ物に入れてくれれば、というようなことが書いてあった。
え、いいの?
で、これを10円でいただいてきた。
昭和50年の本。あたしが小学1年生の時代だ。食べても太らない1ヶ月の献立。今でも充分参考になりそうな内容だなぁ。
健全な男女交際...それ以上にその下の、”ハサミ一丁の特技”にうけた。