充実のオフ
11時。久しぶりに、花子さんと待ち合わせてランチした。
仕事のシーズンオフのこの時期も、あいかわらず別件で忙しくしてるようだ。
北海道の歴史に詳しい彼女(バスガイド)なので
ぜひとも今後は、道内でもマイナーな地域の見どころや歴史なんかを
もっとブログに書いて教えて欲しいと頼んどいた。
北海道の人は自分の生まれ育った場所の良さをあまり知らないようで
職場にいる稚内出身の子に、稚内になにか見どころはある?と聞いても『なんにもないですよ』と言う。
だけど見方を変えれば、きっとそんなところにも穴場的な何かがあるはず。そこんとこよろしく、と頼んどいた。
食後のコーヒーも飲み、あっというまに3時間。
2時前にそれぞれの用事がある方向に分かれて
自分は狸小路のキノへ。今日の2つめの目的は『El Bulli 世界一予約のとれないレストラン』を観ること。
葉書サイズの台紙になんでもいいからアートを貼るなり書くなりして持って行けば観賞料1000円、とネットで見たので
虹の写真を貼って持って行ったら『本日レディースデーで、1000円です』と。そんなのなくても1000円で入れる日だったらしい。
だけどせっかく持ってきたから渡しといた。キノのロビーに貼っといてくれるようだ。
時間まで1時間。新倉屋でコーヒー兼新聞読み。
時間になったのでまたキノに戻り、映画鑑賞。
なんというかもう、自分の理想に近いシェフの環境がそこにあった。
この映画はドキュメンタリー映像で、事実そのままというのが
感動だ。
お客さんを驚かせたい、その思いでみんなで半年研究を重ねる。
そこには、どこかからひっぱってきたような料理はなく、まったくの一から作り上げたものしかない。
だからこそお客さんは感動し、世界中から来たがる。
残念ながら去年の夏に、店はもう閉店したようだけど、それも意味があっての閉店。
将来的な展望に期待がかかる閉店だ。
ついさいきん、職場で自分的にがっくりくる出来事があったばかり。
その直後のこの映画というわけで
理想と現実の職場の、あるギャップの大きさに、帰り道はやや落ち込みも混じった。
しょうがないんだけど、それでも...
7年前に、似たような理由でガタッとモチベーションが下がり、その職場でやってく気力が萎えてしまってそこを辞めた、という実例が
あたしにはあったから、
今の職場に対してもそうならなきゃいいんだけど、さすがに今日はモチベーション下がりまくってる。
ただ、今の時点での意外な救いは、
明日、保育園の仕事の日だということ。
園児と先生の昼食全部が自分に任されてるというやりがい。
そう、やっぱり、完全に任されてるというやりがいが今一番嬉しいんだと思うし、
映像の中のシェフたちがうらやましかった要因なんだと思う。
あたしは居酒屋仕事を6年もやってるけど、バイトはバイト、それはこの先も変わりがない事実。
そして厨房責任者は何年経っても9歳年下のままであり、道外に出た事もなければあちこちの職場経験もあまりない。
それもずっと変わりがない事実。
自分が調理師として知ってることを、自分の上に立つ立場の人が知識として知らなかったことが発覚した衝撃。
さらには、調理師としてこだわるべき点がちょっとちがうんじゃ...と、もやもやさせられる場面がここにきていくつも。
えー...というこのがっくり感をどうしたらいいものかと。
映画のような尊敬できる師のもとで働けたらいいのに、と心から思ってしまった日だった。