昨日、
息子の高校の卒業式の日だった。
こんなさぶくてしょうがない卒業式は初めてだ...とがくがくしながら
数年に1度しかはかないストッキングをはいてスカート姿で高校へ。
聞けば卒業式の練習なんて一度もしなかったそうだ。
え?一度も?入場の練習も?『うん』
そうか、そうなのか...そこまで自由な感じなのか...当日、クラス順に入場、それだけしか決められてない卒業式。
普通の高校で、入場から、卒業証書の受け取りの練習もさせられてたあたしにとって、
この高校の自由さには最後まで驚きの連続だった。
私服の学校なので、卒業式も好きな格好。だから
卒業生はこれでもかっ!と着飾ってくる。特に女子は。
飾りがいがあるね、女の子って。
中には着ぐるみの子も。顔全然見えないけど、この子があとで大活躍。
初音ミクのような子も。
女子はこんなに華やかだけど
男子はちらっと袴姿や、ボクサー姿や、戦場カメラマンのかぶりもの姿がいるていどで
あとはスーツ姿の子が多かった。
後ろから見ると、まるで新入社員のよう。
卒業証書はひとりずつに配らない。
代表者が受け取り。すぐ終了。
次は一番優秀だった生徒ひとりの表彰。名前を呼ばれた着物の子が壇上へ。
校長先生が読み上げてる最中、
さきほどの着ぐるみちゃんが、うしろからひょこひょこと壇上に あがった。
体育館がいっきに和んだ。
お手伝いしに自ら上がったようだ。いい味だしてた。中は女子だ。
「これで卒業式を閉会...」と教頭先生がしめくくろうとしたそのとき、3年のひとりが椅子に立って
『ちょっと待った〜!!』
叫んだとたんカーテンがばーっと閉まり、体育館が暗くなって、BGMが。
ステージ方向の壁に、パソコンから映し出されたものは
卒業生の有志がここ数日ほとんど徹夜で仕上げたらしい、高校生活のあいだのいろんなシーンの写真。
よく作ったなぁ...たぶんセンターの2次が終わってからやりはじめたんだろうしなぁ...
ちょっと待った〜!は毎年卒業式の恒例らしく、
先生方も来賓の方もわかってるんだろう、あとはなりゆきを見守るのみ。
全部卒業生がしきって、ほんとはほんの1時間で終了の卒業式にさらに1時間、卒業生が好きに追加して進行。
寸劇風なものも繰り広げられ、お世話になった先生それぞれに対して思い出話まじりにメッセージ。
カーテンが開いて
ひとりが高いところに立ち(足下見たら机だった。おかしいけど、そんなことにも別にこだわらないし、先生も注意したりしない)
これまでの親への感謝など、感極まって涙ながらに。こっちもつられて涙が。
『今メール来て、卒業生の有志で合唱するから指揮してって頼まれた』そう息子から聞いたのが1週間前。
『結局全員で合唱することになって、今日練習した』そう聞いたのが最後の登校日でもあった前日。
そして翌日、卒業式。1回限りの、卒業生だけでやった練習の成果は、卒業生の出し物の最後に。
当然ながら、息子もさっきの机にささっとのぼり、指揮を。
真面目に指揮する息子の足下が机ってとこがあたしはどうもおかしくてしょうがなかったけど
生徒のすべてをあたたかく見守る先生たち...
卒業生がやることやった、満足したようだ、と確認したところで、
ようやくまた教頭先生が『それでは閉会します』と。
また1組からずらずらと退場。
クラスに入って、クラスで担任から卒業証書を受け取ってた。
立派な卒業アルバムと一緒に。
最初から最後まで
のびのびと自由な高校だった。