職場の居酒屋は
常連のお父さんたちが多いけど
客としてそこまで言えるなんて
ほんとこの店はパラダイスだな、と思う。
いつも4等分にカットして出す厚焼き玉子を『6等分にして』(6人で来たから)
時には『8等分にして』(8人で来たから)
6等分の時点ですでに”厚焼き”な一切れじゃなくなってるけど
8等分と言われてそのまま横から8等分に切ると、薄っぺらすぎて自立すらしなくなるから
4等分カットしてから縦に切る。と、厚焼きをひとくちサイズにしました的8切れになる。
なんでそこまで気を使わなきゃなんだ、安いんだから2皿オーダーしてくれりゃいいじゃん、と思いながら
ちゃんと希望を叶える厨房だ。
オーダーしたサラダ1皿を『3皿に分けてくれ』というのもよくある。
テーブルには取り皿もあるのに、自分たちで分けるのは面倒くさいらしい。だからあらかじめ分けてから運んできてくれ、と。
やれやれ...でちゃんと厨房内で小皿3つに分けてあげる。
それも、エビが2つという具材をわざわざ3等分にきりわけて
色どりに不公平がないように盛りつけて。
塩味の炒め物を『薄味で』というのもよくある。
『ご飯少なめで』というのもまぁある。
そのへんまでは、ま、よしとしたいが、
たまに1個のおにぎりを『小さめおにぎり2個に分けて作ってほしい』というのがある。
1個のおにぎりの料金で、2人が楽しみたいわけだ。
海苔をわざわざそのサイズに切らなきゃだったりして手間2倍なんだけど
ちゃんとやる。
昨夜は
『鮭ハラス、脂の少ないやつ』というオーダーが。
脂少なめがいいんなら、ハラスなんかオーダーするなよ...ハラスは脂がのってる部位じゃん、と思いながら
切り身の中で赤身の多そうなのを選んで焼いてあげた。
『ハラス、3等分カットで』というのもたまにある。
1枚のハラスを3人で分けたい、焼けたのを3人でつついて分けるんじゃなく、
最初から3等分にカットして焼いてもってきてくれ、というわけだ。
1枚の料金で3人が楽しめる、というできるだけ安くあれこれ楽しみたいお父さんたちの工夫が見える。
だけど昨夜、それ、どーなの?というオーダーがあった。
『焼きそば、肉多めで』
具材の量にまで口出し?
まぁやるけどさ...と社員が一皿作って出した。
そしたらもう一皿焼きそばのオーダーが入って
『さっきのより、肉多めで』
あれで少ないってか??普通より多めにしたのに?
仕方ないから普通のより肉8枚プラスして作って出した。
だけどその分料金をプラスするでもない...ということが驚いた。
どんだけお人好しの店なんだ、ここは。
ていうか、
客も、言えばなんでも通るから快適でしょうがないだろうな。
奥さんに言えば『自分でやんなさいよ!』とか文句言われるかもしれないけど、ここは『はい』でやってくれるんだから。
客として、なんでも言ってみるもんだねぇ...作りながら、客とはなんぞやということを
つくづく考えさせられた夜だった。
言う前からあきらめないで、言ってみる。
言ってみてだめならそこであきらめる。
なんかそういうの、海外では当たり前な行動だったな。
北海道の人はやっぱりどこかおおらかで、アメリカ人ちっくな感じ。
あいかわらず、そういうことにまだまだあっけにとられてしまう、遠慮がちな本州気質が
あたしには残ってるんだなぁと自覚させられてしまう今日このごろ。